投資家に必要な資質とは
投資家に必要な3大資質と、3大資質を養うための6つの推奨行動について解説します。
自分に何が足りないかを認識し、努力を継続すれば、勝てる確率は格段に高まるはずです。
投資家に必要な資質
「NeoLuxの注目銘柄」を公開するようになって約1ヶ月が経過した。
私自身、この期間にほぼ計画通りの利益を上げることが出来た。
掲示板の情報に負う所も大きいが、正に値千金の情報を公開していると自負している。
しかしながら、この値千金の情報を見ても依然儲かっていない、あるいは儲かる可能性の低い投資家は多いはずである。
なぜなら、
パレートの「80対20の法則」
が広範囲に成り立っているからである。
テクニカル解析は非常に優れた錬金術であるが、これを使う投資家の資質はさらに重要である。
殆どの場合、投資の判断をするのは人間であり、人間には感情がある。
したがって、この感情をコントロールできない投資家はマーケットで勝ち続けることは出来ない。
もし私の投資手法をモデル化した優れたコンピューターシステムがあり、
人間を介さないで売買をすれば確実に利益を積み重ねるであろう。
実際、世の中にはこれに類似した、人を介さない優れた売買システムは存在するようである。
以下、投資家として必要な資質について解説するが、まずは自分を知り、自分には何が足りないかを認識し、
努力を継続すれば、勝てる確率は格段に高まるはずである。
<投資家に必要な3大資質>
1.知る努力を継続し客観的に分析できる資質
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テクニカル分析情報、マクロあるいはミクロなファンダメンタル分析情報を問わず常日頃から様々な情報を集め、
これを客観的かつ冷静に分析することが出来る資質は優秀な投資家への第一歩である。
株価が下落し損失が大きくなると、どうしても弱気な判断になり、リスクが取れなくなる。
また株価が上昇し利益が大きくなると自信過剰になり、判断が甘くなり必要以上のリスクを取ってしまう。
このような心理現象を押さえ込み、客観性を維持することは投資家にとって非常に重要な資質の一つである。
2.計画的に投資できる資質
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「最悪の事態」を想定し、計画的に投資することも投資家にとって重要な資質の一つである。
株価が上昇することのみを想定して投資する投資家が多い中、下落したケース(下落理由と下落幅)を想定し、
ストップロス(損切り)基準を明確にしておくことも重要である。
さらに、酒田五法でいう「休むも相場」に備え、常に次の投資先を用意する計画性も運用効率を高める上で重要である。
一般論として、特定の株式に固執しないことが望ましい。しかしながら、大局観を持って長期投資した株式
の一時下落でストップロスしない、という固執も一方では大切であることを、
米国の偉大な投資家ウォーレン・バフェットから学ぶべきであろう。
3.分析に裏付けられたリスクを取ることが出来る資質
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株式投資では下落リスクの低い銘柄を選定するのが原則であるが、買った直後に上がり始める銘柄は少なく、
一時的に下落することは日常茶飯事であり、このような事態に狼狽して売却するのは最も避けるべき行為である。
株価下落が大きなストレスになるようでは投資家は務まらない。個人差はあるが、以下の項目を満足した投資であれば、
一般の方でもリスクは取りやすいのではないだろうか。
- 自分が信頼する複数の手法で分析した投資であること
- 「最悪の事態」を想定しロスカット基準を明確にした投資であること
- 無理のない範囲の投資であること
一般論として、知能指数の高い優等生タイプはリスクを取ることが出来ない傾向にある。
その理由は、多くのことを考え過ぎるあまり、投資できない言い訳を考えてしまうからである。
「リスクの取り方」は学校では学べない項目であり、自分に適した方法を見出す必要がある。
<3大資質を養うための6つの推奨行動>
1.損失を恐れずpositive thinking(プラス発想)で投資する
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世の中には、理論オタク、愚痴オタク、努力しない人、他力本願の人など実に多くのタイプの人間が存在する。
投資家で成功するためには、少なくとも前向きで意欲的な目標を持った仲間を持つことが望ましく、
債権の信奉者やパッシブ投資(インデックスファンドへの投資)信奉者とは一線を画すべきだろう。
前向きな思考回路を持った仲間との相互作用により、自らも高い意識を継続でき、
分析に裏付けられたリスクを取ることを恐れず、positive thinkingを継続することが可能になる。
2.自分の確固たる信念で投資する
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自分の信念で投資していない投資家は、損失を人やマーケットのせいにしているのではないだろうか。
まず、「損失は投資家としての自分の資質の欠如のせい」であることを認識すべきである。
そして、「自分の無知を知り」、「知らない部分」を補う努力を継続すべきである。
努力を積み重ねれば少しづつ勝てるようになり、自信が沸いてくる。
そして、徐々に確固たる信念が持てるようになる。
3.目的・目標(値)を持って投資する
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人間は本来楽を好むものであり、「努力を継続する」ことは意外に難しい。
しかし、投資の目的や目標値(「何年何月までに何億(百、千)万円貯めて何に使う」等)が有れば
これに向けて努力しやすいのではないだろうか。
私は、サラリーマン時代にプライベートな時間で博士論文を書き博士号を頂いた。
この努力に比較すれば、投資で儲けるための努力は簡単なものである。
4.投資利益の喜びを味わうが自信過剰は戒める
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これも「努力を継続する」ための一手法である。もし投資で儲けたら、自分の資質を自分で褒め、
家族や友人に話して喜びを分かち合うのが良い。また努力して、儲けようという意欲が沸いてくる
はずである。ただし、negative thinking(マイナス発想)
の人に話して否定的な意見を浴びないよう注意する必要がある。
また、自信過剰にならないよう自ら戒めることも大切である。
5.ストップロス(損切り)の反省はするが後悔はしない
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ストップロスを行った場合、何が悪かったか十分反省する必要がある。
しかし、自分が信念を持って投資した結果であれば、後悔はしないはずである。
冷静に分析して同じ失敗を繰り返さないようにすることが重要である。
例えば、業績の下方修正が出た場合は、「4半期ごとの業績はチェックしたか」、
「売れ行きや評判はチェックしたか」、「企業の目標値に無理は無かったか」、
「競合他社商品との比較は行ったか」等の分析が必要である。
6.社会貢献を意識して投資する
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投資家の社会貢献とは「投資した会社の監視および適正な株価評価」であろう。
経営を委託している役員が、長期計画に沿って成すべきことを確実に実行しているか、
またコンプライアンス(法令順守)の問題は起こしていないか等をチェックし、
問題があれば会社に直接講義したり、株主総会で取り上げることも必要である。
また、改善の見込みが無いようであれば、容赦なく売り込むことも重要だと思う。
ただし、実際の評価以上に買われ過ぎたり、売られ過ぎた場合は、適正に評価して
株価を維持するのも投資家の役割であろう。「社会貢献」を意識した株式投資を心がけると自然に儲かり、
自分の利益ばかりを考えると儲けられないのが株式投資の面白いところでもある。
ウォール街の格言「Bull(牡牛:強気)は時々儲ける、Bear(熊:弱気)も時々儲ける、
だがHog(豚:貪欲)は決して儲けない」はこれを的確に表現している。
<参考文献>
- 日本テクニカルアナリスト協会編, 「
日本テクニカル分析大全
」, 日本経済新聞社,2004年8月2日,第1版1刷.
- 林康史, 「
エリオット波動―ビジネス・サイクル
」, 日本証券新聞社,2000年6月1日,改訂新版.
- 「
会社四季報CD-ROM2008年3集夏号
」, 東洋経済新報社.
- アルバート-ラズロ・バラバシ(青木薫訳),「
新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く
」, 日本放送出版協会, 2002年12月,第1刷.
- ジェイク・バーンスタイン(青木俊郎訳),「
投資の行動心理学
」, 東洋経済新報社,2003年8月,初版.
- ピーター・リンチ(酒巻英雄監訳),「
ピーター・リンチの株式投資の法則―全米No.1ファンド・マネジャーの投資哲学
」,ダイヤモンド社, 2002年3月, 第11版.