反転フォーメーションとは
反転フォーメーションとしては、ヘッドアンドショルダーズ、
ダブル・フォーメーションが良く知られています。その他にも、
ライン型、ソーサー型、V字型があります。
2.反転フォーメーション
2.1 ヘッドアンドショルダーズ・フォーメーション
図に示す
ヘッドアンドショルダーズ・トップ(H&S-T)フォーメーション
は文字通り頭と両肩からなる。
日本では、
三尊(左肩:普賢、頭:釈迦、右肩:文殊)として一般に良く知られている。
サポートライン(
SL)と
チャンネルライン(
CL)に沿って上昇した後、
ある時点で上昇がチャンネルラインに届かなくなり、頭を形成した後下落し、SLを割ってしまう。
その後、値を戻そうとするため右肩が完成するが、SLあるいはその下で勢い尽きて反落する。
頭と両肩の交点を結んだラインを
ネックライン(
NKL)と言うが、
NKLを切った後、再度上昇を試みる局面(
リターンムーブ)が現れるが、NKLを越えられず再度反落する。
このフォーメーションでは、左肩で出来高が最大となる。その後、出来高は徐々に減少するが、
NKLを切った頃から再度増加する。このパターンでは、NKL付近の出来高次第で
フェイリャー(Failure:失敗)が発生することがある。
リターンムーブで出来高を伴ってNKLを超えた場合は、H&S-Tの形成が失敗し新たな波動が始まったと考えられる。
また、H&S-Tは5分足のパターンとしても頻繁に現れる型であるが、5分足の場合は
フェイリャーの発生頻度も高い。
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ヘッドアンドショルダーズ・ボトム(H&S-B)・フォーメーションは、
レジスタンスライン(
RL)とCLに沿って下落した後、
H&S-Tフォーメーションとは上下が完全に逆転した形状で反騰するパターンである。
H&S-Tフォーメーションと異なる点は出来高であり、c波がNKLを越えた付近から急増する。
またH&S-Bでも
フェイリャーが発生することがある。
このケースでは、
リターンムーブで出来高を伴いながら、NKLを下抜け、
その後はそれほど出来高が増えることなく新たな下げトレンドへ入って行く。
H&S-Bは5分足のパターンとしてはH&S-Tほど頻繁に発生しないし、発生した場合でも様々な
パターンの
フェイリャーを伴うことが多い。これは、一般的に底形成パターンでは、天井形成
パターンに比較して出来高が低いため、僅かな需給バランスの崩れで価格変動を起こしやすい
ことに起因していると考えられる。
2.2 ダブル・フォーメーション
ダブル・フォーメーションはH&S-TあるいはH&S-Bに比較して、より出現頻度が高いパターンであり、
5分足分析でも頻繁に観察される。
ダブルトップは、
エリオット波動第5波が
フェイリャー
を起こしたケースである。
フェイリャーは相場の典型的な反転信号であり、
H&S-Tに比較して急速にネックライン(NKL)を割り込む。その後リターンムーブはあるものの、
NKLを越えることが出来ず、さらに下値を模索することになる。
ダブルボトムは
ダブルトップの
上下を反転したパターンであるが、出来高が異なる。即ちダブルトップの場合、
最初の高値(
エリオット波動第3波)で出来高が最高となるが、
ダブルボトムではNKLを越える付近から出来高が急増する。
ヘッドアンドショルダーズ・フォーメーションも含め、
これらフォーメーションではNKLから高値または安値までの値幅を、NKLを中心に反転させた価格が下値または上値目標値となる。
しかしながら、これらの目標値は、
他の
サポートラインやレジスタンスライン
との関係や相場の強弱感等により上下するので、あくまで目安値と考えるのが無難である。
2.3 その他のフォーメーション
上記以外の反転フォーメーションとして、
ライン型、
ソーサー型、
V字型の反転フォーメーションがある。
-
ライン型:長期間もみ合いが続いた後に反転するパターンであり、もみ合いが長いほど、
またもみ合いの値幅が狭いほど反転した時の上昇幅は大きくなる。
一般的に、「天井三日、底百日」と言われるように、天井圏でもみ合いが長期間続くことは殆ど無いため、
ラインボトムに比較してライントップは殆ど出現しない。
-
ソーサー型:徐々に反転エネルギーが溜まり、円形を描きながら上昇あるいは下落を加速するパターンであり、
ラウンディングターンと呼ばれる。ソーサーボトム型は日本では鍋底型として広く知られている。
このパターンの後半にはプラットホームと呼ばれる踊り場(鍋の取っ手に相当)を伴うこともある。
-
V字型:買いが買いを呼び、また売りが売りを呼ぶケースであり、文字通りV字型の天井または大底パターン
を形成する。人気が集中しやすく、発行株数が少ない新興銘柄で発生しやすい。
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<参考文献>
- 日本テクニカルアナリスト協会編, 「
日本テクニカル分析大全
」, 日本経済新聞社,2004年8月2日,第1版1刷.
- 林康史, 「
エリオット波動―ビジネス・サイクル
」, 日本証券新聞社,2000年6月1日,改訂新版.
- 「
会社四季報CD-ROM2008年3集夏号
」, 東洋経済新報社.
- アルバート-ラズロ・バラバシ(青木薫訳),「
新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く
」, 日本放送出版協会, 2002年12月,第1刷.
- ジェイク・バーンスタイン(青木俊郎訳),「
投資の行動心理学
」, 東洋経済新報社,2003年8月,初版.
- ピーター・リンチ(酒巻英雄監訳),「
ピーター・リンチの株式投資の法則―全米No.1ファンド・マネジャーの投資哲学
」,ダイヤモンド社, 2002年3月, 第11版.